今回のテーマ
「ように」と「ために」の違いの解説の最終回になりました。
今回は「ように」と「ために」の両方が接続出来る場合について解説します。
「ように」と「ために」それぞれの用法の解説は以下の過去の記事のリンクからご覧ください。
「ように」の用法解説
「ために」の用法解説
始めに「目的」用法の違いをまとめます。
二つの「目的」用法の違い
a:「ように」は「状態を表す動詞」に付くことが多いです。
「ように」は「様に」と漢字で書けます。
「様」は「様子」の「様」ですね。すなわち状態です。文章に「自然と」をつけると状態性は明確になる。
b:「ために」は「意志的」、すなわち、「自ら積極的に動くことを表す語」に付くことが多いです。
名詞に付く時は「のために」、動詞に付く時は辞書形(連体形)に「ために」を付けます。
c:両方付けることが出来る動詞も存在します。ニュアンスが少し変わってきます。
また、間違いだと指摘してくる日本人もいるかしれません。
否定文の場合ニュアンスの差はほとんどないでしょう。
d:両方付けられるが、用法が「目的」から代わる場合があります。文章としては成立します。
これも日本人に間違いだと指摘される場合もあるかもしれません。
e:「ように」か「ために」のどちらか一方しか付けられない動詞の場合があります。
無理矢理他方を接続することはできますが、意味が変わります。
そして、その文章の意味は大分不自然になるでしょう。そのような状況が成立するとしたら大分特殊でしょう。あまりその状況が成立するとは思えません。
両方が付けられる例文の解説
A: 健康になるためにしっかり食事を摂る。
健康になるようにしっかり食事を摂る。
上記2文はほとんど同じ意味です。
わずかな違いを示すとしたら、「ために」は「健康」という目的が明確です。「ように」の方は「健康」という状態を最終的な目的にして、長期的に継続して努力するというニュアンスが感じられます。
B: 待ち合わせ時間に集合場所に居るためにタクシーに乗った。
待ち合わせ時間に集合場所に居るようにタクシーに乗った。
これら2文もほとんど同じような意味です。
AとBに共通するのは「なる」や「居る」のように、「状態」や「動作」のどちらの意味にもとれるような動詞の場合「ように」と「ために」のどちらも接続しやすいということです。
では、次の例文はどうでしょうか。考えてみてください。
C: ① 東京大学に入るために勉強します。
② 東京大学に入るように勉強します。
日本人によっては 「東京大学に入るように勉強します。」を間違いであると指摘する場合もあると思いますが、その指摘のように単純なものではありません。
結論から述べると、両者は似た意味なのですが、聞こえ方が違います。(但し、日本語の細かい違いを気にしない人やこの言葉を発した人のことをよく知っている人が聞いたら、意味の違いは感じないかもしれないです。)
①は東京大学に入るために一生懸命努力して勉強するという風に聞こえます。
なぜならば、「ために」は目的を表すからです。
②は東京大学に入れるように、「最低限の勉強する」または「一生懸命努力せずに、普通に勉強して、楽に」というニュアンスがあります。凄く頭が良くて、あまり勉強しなくても入学できるような人も言える言葉でしょう。
まとめ
以上、全4回にわたって「ために」と「ように」の違いをまとめました。分かりづらい部分があるかもしれません。質問がある場合、遠慮なくご連絡ください。