「ように」と「ために」の違い②

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今回のテーマ

 前回の記事で「ように」と「ために」の「目的」用法の違いをまとめました。

そして、「ように」の例文の解説を行いました。

今回は「ように」を中心とした例文の解説の続きを行います。

「ように」と「ために」それぞれの用法の解説は以下の過去の記事のリンクからご覧ください。

「ように」の用法解説
「ために」の用法解説


始めに「目的」用法の違いをまとめます。

二つの「目的」用法の違い

a:「ように」は「状態を表す動詞」に付くことが多いです。
「ように」は「様に」と漢字で書けます。
「様」は「様子」の「様」ですね。すなわち状態です。文章に「自然と」をつけると状態性は明確になる。

b:「ために」は「意志的」、すなわち、「自ら積極的に動くことを表す語」に付くことが多いです。
名詞に付く時は「のために」、動詞に付く時は辞書形(連体形)に「ために」を付けます。

c:両方付けることが出来る動詞も存在します。ニュアンスが少し変わってきます。
また、間違いだと指摘してくる日本人もいるかしれません。
否定文の場合ニュアンスの差はほとんどないでしょう。

d:両方付けられるが、用法が「目的」から代わる場合があります。文章としては成立します。
これも日本人に間違いだと指摘される場合もあるかもしれません。

e:「ように」か「ために」のどちらか一方しか付けられない動詞の場合があります。
無理矢理他方を接続することはできますが、意味が変わります。
そして、その文章の意味は大分不自然になるでしょう。そのような状況が成立するとしたら大分特殊でしょう。あまりその状況が成立するとは思えません。

「ように」の例文の解説の続き

B:「涼しい風が入るように窓を大きく開けた。」 →aのパターン
                    「入る」という状態の動詞
                    「入る」の主語は「風」 

書き換え
→「涼しい風を入れるために窓を大きく開けた。」
 bのパターンの文章。
 「入れる」に変えて「自ら積極的に風を部屋に取り込む」という意味になっています。
 そのため「入る」の 主語は人等の生物である。(例えば、「私」、「彼」。しかし省略されています。)



→「涼しい風が入るために窓を大きく開けた。」
 dのパターンの文章。
 ここで「ために」は目的ではなく原因や理由の用法に変わっています。



→「 涼しい風を入れるように窓を大きく開けた。」
dのパターンの文章。
比況的な文章になっています。

しかし、「涼しい風を入れる」と「窓を大きく開ける」に類似性がないため、比較として成立せず、一見すると比況と言いづらいです。

日本人なら不自然に思うでしょう。
「迎え入れるかのように」と書けば「大きく開ける」との類似性(風を歓迎するからこそ、
大きく派手に窓を開けるということ)が出来て、誤解も生じづらいでしょう。

しかし、わざわざこのような曖昧な文章を使うことは小説の中くらいだと思うので覚えなくていいと思います。その意味でeのパターンとも言えます。

 

 C: 「虫が部屋に入(はい)らないように窓を閉めた。 」→aのパターンの文章。

 書き換え
→「虫を部屋に入(い)れないために窓を閉めた。」→b,cのパターンの文章。
  = 「虫を部屋に入(い)れないように窓を閉めた。」→a,cのパターンの文章。


→「虫が部屋に入らないために窓を閉めた。」→eのパターンの文章。
「ために」が原因や理由の用法に変化しています。

普通は虫が嫌なので、窓を閉めます。

「虫が入らないから窓を閉める」状況とは、「虫が大好きな虫専門の教授などが、虫が全然外に居ないことにがっかりして、窓を閉めた」等が推測されますが、これはほとんどない事例だという意味で不適切でしょう。

まとめ

以上、「ように」の例文を解説の続きをしました。

分かりづらい点等があります場合は遠慮なくご連絡になってください。

次回は「ために」を用いた例文について解説します。