今回のテーマ
ある中国人から質問を受けました。
あるホテルの評価にこういう日本語が書かれていました。
『「髭剃り用の剃刀と綿棒が無かったなど、ごみ捨ても捨てられて無い所が有ったり、今一つ感じでしたね。」という文章を読んだのですが、この文にある「ごみ捨て」とはどういう意味ですか。』
確かに「ごみ捨て」という単語は辞書には掲載されていません。ではこの単語はどのように解釈すればいいのでしょうか。検討してみましょう。
解説
結論から言うと、この「ごみ捨て」は「ごみ箱」、「ごみを捨てられる場所」、「ごみを捨てるべき場所」という意味があります。
そしてこの文章が書かれた状況は「お客さんが部屋に入った時、ごみ箱にごみが入ったままだった。つまり捨てられていなかった。」というものでしょう。
では、なぜこのような意味になるのでしょう。
本文の「ごみ捨て」はカジュアルな表現です。
この表現は本来「ごみを捨てる行為」を意味する名詞的表現です。
例文を挙げましょう。
「事務所のごみ捨てをしてくれますか。」
「君、ごみ捨てしてくれたのかな。」
「ごみ捨て当番」
では、今回の「ごみ捨て」はどのように形成されたのでしょうか。可能性を挙げてみます。
①「ごみ捨て場(のごみ)」の省略
②「捨てる」の連体形の名詞的使用
①例文の「ごみ捨て場」を「ごみ捨て場のごみ」と書き換えてみましょう。
「 ごみ捨て場のごみも捨てられて無い所が有ったり」
意味が通じますよね?
②日本語には「入れ」という接尾語があります。何かを入れる容器を意味します。
例えば、「名刺入れ」、「小銭入れ」、「筆入れ」、「くず物入れ」等です。
これは「入れる」という動詞の連体形が名詞的に使われていると解釈できると思います。
これと同じ原理で、この文章を書いた日本人は「捨てる」の連体形を使って「ごみ捨て」と書き、「ごみを捨てるための容器」という意味を作り出したと考えられます。
まとめ
以上、辞書に載っていない日本語の解説でした。辞書に載っていないと解釈は難しいですね。何か質問等があれば遠慮なくどうぞ!
ところで、この質問の例文には文法的間違いがいくつかあります。わかるでしょうか。
次回はその点を解説します!