今回のテーマ
「苦手なものは下手?下手なものは苦手?」①では「苦手」と「下手」の似ている意味について取り上げました。今回は「苦手」の意味について更に詳しく検討したいと思います。
解説
前回の確認
まず、「苦手」の意味と例文をもう一度掲載します。
①性分が(自分の性格にとって)合わなくて、また、対処しにくくて、嫌な感じをもつこと。また嫌であったり、自分に合わなかったりするような相手。
②得意でないこと。またその様子。=不得手。
②の意味の例文
彼は運動が苦手だ。
英語の苦手な人。
料理が苦手だ。
カラオケが苦手だ。
人付き合いが苦手だ。
これらの例文は技術が劣っているという意味で「下手」と同じ意味だと前回の記事で書きましたね。
今回の記事では、これらの例文が表す「苦手」が「苦手」の意味①も表せることを解説します。
では「英語が苦手だ」を例にとりましょう。
前回の記事でこの意味は「英語の成績が悪い」、「英語をあんまり理解していない」、「英語を話せない」等の意味でした。
しかし、実は英語がよく出来ていても「英語が苦手だ」と表現が出来るのです。どういうことでしょうか。
例文による解説
英語が苦手だ。(他人から見ると流暢に英語を用いているように見えるし、本人もある程度自分が英語を理解していることを自覚している。しかし、本人はあまり英語を話すのが好きではない、面倒だと思っている、まだ自分自身のレベルが低いと認識している等のニュアンス)
理解出来たでしょうか。実は「苦手」の①の意味にもなることが分かると思います。
もちろん、「英語が本当に出来なくて、好きではない、面倒だ」という状態を表すこともにも使えます。
ではもう1つ例文を検討してみましょう。
カラオケは苦手だ。(本人の歌はとても上手い。しかし、友達の前や、あまり親しくない人の前で歌うのは恥ずかしい。上司とカラオケに行きたくない。カラオケボックスの狭い空間が耐えられない等のニュアンス)
もちろん「歌が下手だから、カラオケが苦手だ」という意味にもなります!
さらにもう1つ考えやすい例で説明します。
人付き合いが苦手だ。(表面上は対立を起こさないように振舞っている。しかし、実は他人と関わるのが面倒だと感じている。)
これも同様に「人付き合いの仕方が悪くて対立ばかり」という意味にもなります。
まとめると、「~~は苦手だ。」は文脈によっては、その技術が必ずしも悪いという意味ではなく、本人の意識によっては、その行為・物が好ましくないという意味にもなります。
本人の意識が表れている証拠として、「数学に苦手意識がある。」という言い方が出来ることが挙げられます。「下手意識がある」とは言いません。
まとめ
次回の記事では、更に詳しい「苦手」の①の意味と「下手」の②の意味について解説します!