今回のテーマ ~「こだわる」の本当の意味は?~
日本語学習者の皆さん、「こだわる」という単語を知っているでしょうか?
「こだわる」という単語とその活用形は日本社会のあらゆる場面で見られます。
しかし、「こだわる」の本来の意味で使われていない場合があります。
「こだわる」と関連する単語に「拘泥(する)」という言葉があります。
「こだわる」の本来の意味を理解すると、「拘泥」の意味も理解しやすくなります!
日本社会での「こだわる」の使われ方
現在の「こだわる」の使い方を見てみましょう。
①材料にこだわった料理
②スープのだしにこだわった。
③プロも使用するこだわりの逸品
④些細な損失にこだわる。
⑤本質ではなく、形式にこだわる。
このような文章を見たことがあるでしょうか。①から③は良い意味で、④と⑤は悪い意味と一般的に解釈されます。
なぜ2つの意味があるのでしょうか。
「こだわる」の本来の意味
実は「こだわる」の本来の意味は、「些細なこと、ちょっとしたことを必要以上に気にする。気持ちがとらわれる。」という悪いニュアンスがあるのです。
「こだわる」を漢字で書くと「拘る」です。「拘束」、「拘留」など「拘」に良いニュアンスはありませんね。
だから、上の例文①から③は本来は正しくないのですが、「こだわる」新しい用法として辞書に掲載されています。
この新しい「こだわる」の意味を辞書では、「妥協しないでとことん追求するような肯定的な意味」として説明されています。
「こだわる」と「拘泥」の関係
「些細なことを気にする」という意味では、「こだわる」の他に「拘泥」・「拘泥する」(読み方、こうでい)があります。
「こだわる」の新しい用法に良い意味がある一方で、「拘泥」には現在のところ良い意味はありません。
「拘泥」は一般的に使われる言葉ではありますが、普段使わない日本人も多いため、「こだわる」のように良い意味を持ちづらかったといえるでしょう。
「こだわる」を漢字で書くと、「拘る」となりますから、「拘る」と「拘泥」の関係は分かりやすいと思います。
「拘泥」の「泥」の字は一般的に「どろ」や「でい」と読みますが、「泥む」(なずむ=滞む)という読み方もあります。この「なずむ」も「些細なことを気にする」という意味です。
このような「拘」の字の背景からも、「こだわる」は良い意味を持ちづらい点が理解できると思います。
なぜ「こだわる」の意味が変化したか?
変化の具体的な理由は明らかになっていません。
しかし、普通の人が気にしない、些細な点を必要以上に気にするというニュアンスから、些細な点の良さを見つけるという意味で、「こだわる」の良い意味が使われるようになったと推測されます。
まとめ
今回は「こだわる」の本来の意味と「拘泥」との関係について書きました。
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First photo by acworks on 写真AC
Second photo by Nik Shuliahin on Unsplash