今回のテーマ
前回の記事に引き続き、今回は補助動詞「いる」の用法について解説します。
解説
前回の確認
まず課題文を掲載します。
「髭剃り用の剃刀と綿棒が無かったり、ごみ捨ても捨てられて無い所が有ったり、今一つって感じでしたね。」
問題の箇所は「て無い所」です。これは明らかな間違いです。
みなさんも日本人が書いたからといって、全ての日本語を信用することはやめましょう。
これがもし「てない所」と平仮名で書いてあれば口語表現で許されるのですが、この「ない」は打ち消しの意味の助動詞「ない」なので漢字で書いてはいけないのです。
最も文法的に正しい形は「捨てられていないところ」です。
これは「居る」の補助動詞用法「いる」+「ない」によって形成されます。
口語では「て」の直後の「い」が落ちて「てない」と使われます。
したがって「て無い」は間違った日本語です。
補助動詞「いる」の用法
ここで補助動詞「いる」の意味を確認してみましょう。
①動詞の連用形+「~て(で)-」
A:動作や作用が継続・進行中である意みを表す。
「彼は今、銀座(東京の街)で映画を見(視)ている。」
「今、帰宅しているところだ。」
「カラスが電線に止まっている。」
「世界は狭いと思っていたのですか。」
B:動作や作用の完了した結果が、まだ残っている意味を表す。
「先生は2時間も前にいらっしゃっている(来ている)。」
「服が汚れている。」
「窓が開けっ放しになっている。」
「オリンピックの感動は今も記憶に残っている。」
「兄は数年前に日本に帰ってきています。」
C:動作や作用が繰り返す意味や習慣化した意味を表す。
「毎日ウェブサイトを更新しています。」
「毎年たくさんの新製品が生まれている。」
「怯えてばかりいると、なめられるぞ。」
D:完了した動作や作用について、経験を表す。
「昔に読んでいた本だ。」
「その映画なら何度も聞いている。」
「ロシアには行っていますか。」
E:特定の動詞に付いて、ある状態であるという意味を表す。
「有名人に似ている。」
「高い壁がそびえている。」
「道路が曲がっている。」
「話がばかげている。」
「彼は態度が堂々としている。」
「平日は大体空室になっている。」
②動詞の未然形+「ずにいる」、「ないでいる」の形で、動作や作用が実現されていない状態で保たれている意味を表す。
「事前に調べずに旅行する。」
「知らないでいるのが幸せだろう。」
まとめ
以上、補助動詞「いる」の解説をしました。日本人は「いる」の「い」をよく抜いて話すので、正式な文章では真似をしないようにしましょう。質問・疑問等がありましたら、遠慮なくコメントください。