今回のテーマ
文法的に正しい言い回しであっても、実際に書いたり、話したりすると話の聞き手が受ける印象は変わってくるものです。
第1回目に引き続き、無意味な言葉を減らす工夫について語っていこうと思います。
渡辺由佳の 「会話力の基本」( 日本実業出版社より 2011年出版 )を引用し、原本よりも詳しい解説を行います。
余計な「っていうか」を外す。
始めに2つの例文AとBを引用します。
A
オフィスの段ボールの中の文具を整理してほしいと先輩に頼まれて、
「っていうか、これ出しても、しまうところがないっていうか。まとめて買いすぎじゃないですか?」
渡辺由佳, 2011 「会話力の基本」日本実業出版社 p.14.
B
「はい、もしかしたら、全部入らないかもしれませんので、収納できるところまで入れて、あとは部屋の隅の邪魔にならないところにまとめます。
渡辺由佳, 2011 「会話力の基本」日本実業出版社 p.14.
AとBの文章の差は大きすぎる点はあまり気にしないでください。(別人格のような違いですが笑)
例に漏れず、友達との会話であればAでも問題ありません。
しかし、Aを仕事で使ったり、先生に使ったりすると、間違いなく大変なことになるでしょう。
「っていうか」は男女ともに使いますが、日本では特に頭の良くない人、特に頭の悪い女性が使う言葉であるというステレオタイプがあると推測することが出来ます。
さらに言えば、「っていうか」の連発は頭の悪い女子学生・女子高生を連想させるステレオタイプの言葉として、まさにAのような文章でドラマ等に表れます。
結局のところ、「っていうか」という言葉が無くても言いたいことは通じるのです。
ですから「っていうか」を使いすぎると他人に軽んじられます。
不必要に多用せず、以下のルールを守ってつかいましょう。
言葉の解説
「っていうか」
「というか」の変化形です。「と」が「って」になり、いずれも「引用」の格助詞です。
特に間違った言葉というわけではありません。
例文
「お母さんによろしくと(って)お伝えください。」
「というか」の意味は
「AであるというよりもBだ」や「Aであるかもしれないけれど、より正確にいえばBだ」という意味です。
例文
「彼は高校教師というか、大学教授だ」(彼は高校教師だが、授業は非常に学術的な内容が多いため、高校教師というより大学教授のようだということ。)
「この数学の問題は難しいというか、計算量が多い。だから難しく感じる。」
また「~というか~というか」の形で、判断がつかなくて、決められない様子を表します。
「彼は子供っぽいというか、かわいいというか、とにかく憎めない人なんです。」
不適切な「っていうか」の用法の解説
以上のルールを知れば例文Aの文頭の「っていうか」の不必要性がわかるでしょう。
単に語感の良さのために、感嘆詞的に使われています。
さらに渡辺は冒頭に「っていうか」という表現があると、聞き手は自分の意見を否定されたような気持ちになるとも指摘しています
正否を検討すべきなのは「しまうところがないっていうか。」でしょう。
このままでもいいのですが、たとえば「 しまうところがないっていうか、まとめて買いすぎじゃないですか?」 と「。」から「、」に書き換えれば、文法的には問題ないのです。
分かりやすく言い換えると「しまうところがないです。そもそも、まとめて買いすぎじゃないですか。」
しかし、「っていうか」は聞き手が不快に感じる場合があります。
その理由は無くても通じるので、この「っていうか」が耳障りだからといえるでしょう。
さきほどの言い換え通り、「しまうところがないです。そもそも、まとめて買いすぎじゃないですか。」と言えばいいからです。
補足情報
「しまうところがないです。そもそも、まとめて買いすぎじゃないですか。」 と書き直しました。しかし、文法としては正しいのですが、「じゃないですか」という表現が聞き手を不快にさせる場合があります。
この「じゃないですか」に関する解説は後の記事でしますので、そちらもご覧になってください。
まとめ
日本人も多用する余計な「っていうか」について解説しました。
日本語学習者の皆さんは、よく使われる表現だからといって、安易に真似をしないようにしましょう。