今回のテーマ
前回の記事「~~だらけは~~まみれなのか?①」で、「だらけ」と「まみれ」の共通点について解説しました。
今回は、「だらけ」と「まみれ」の使い分けについて検討したいと思います。
例文による解説
始めに1つの例を挙げます。
この書類は間違いだらけだ。
この例文はよく使われます。
では、この例文は「まみれ」を使えるのでしょうか。
この書類は間違いまみれ。
これは言いづらいです。「まみれ」は付いたものによって汚れている様子を表します。
書類に間違いがあっても汚れているわけではないですね。
では次にこちらの例文をご覧ください。
あの人の人生は間違いだらけだ。
あの人の人生は間違いまみれだ。
上記の例文における間違いとは、抽象的な意味の「間違い」で「人生における汚点」つまり「汚れ」と解釈できます。したがって、この場合「まみれ」は使えると思います。
そのため、「書類」に関しても、「間違い」が、「重大な間違い」で、抽象的な意味での「汚点」、つまり「汚れ」ならば、「この書類は間違いまみれ」と言えるかもしれません。
ただ日本人は両方の例文に関して「だらけ」の方を使うので、「まみれ」を使った場合、間違いだと指摘されるかもしれません。
「間違い」という単語だと「だらけ」と「まみれ」間の論争が激しくなります。似たような表現を使って、「だらけ」と「まみれ」を両方を使うならば、「嘘」がいいでしょう。例文をみてみましょう。
嘘まみれの書類。
嘘だらけの書類。
なぜ「嘘」が使い易いかといえば、「嘘」という言葉には「悪い」というイメージがあり、「悪いこ=汚れている」という等式が成立するからです。したがって「嘘」ならば「まみれ」が使いやすいですね。
さらに「まみれ」は大きな範囲にも使えます。例文を見てみましょう。
あの国家は汚職だらけだ。
あの国家は汚職まみれだ。
このように大きな範囲でも「まみれ」は使えます。
最後に、「まみれ」は内側にも使えます。
私の部屋は埃だらけだ。
私の部屋は埃まみれだ。
日本人の中に『部屋の内部は表面ではないので、「まみれ」は使えない』という人も居ますが、内側も表面と解釈出来るので、「部屋は埃まみれ」だと使えると思います。
また、「まみれ」の意味は「全体的にくっついて汚れている」というものです。ですから、そもそも「表面だけ」という制限が間違っています。
比較的小さな物体が「全体的にくっついて汚れている」こと多いので、「まみれ」は「外側の表面だけの汚れだけに使える」という日本人の勘違いが醸成されたと思われます。
以上、2 回に渡って「だらけ」と「まみれ」の違いを説明しました。分かりづらい点や質問・疑問がありましたら、遠慮なくどうぞ!