今回のテーマ
語尾の中には使い方が文法として正しくなく、それゆえに稚拙に聞こえる表現があります。
今回は 渡辺由佳の 「会話力の基本」( 日本実業出版社より 2011年出版 )から、「して」という語尾を挙げ、原本よりも詳しい解説を行います。
自信が無さそうに聞こえる「して」
2つの例文AとBを挙げます。
A
企画書の意見を求められた際、
「この企画、うまくいったりして」
渡辺由佳, 2011 「会話力の基本」日本実業出版社 p.21.
B
「この企画、きっとうまくいくと思います」
渡辺由佳, 2011 「会話力の基本」日本実業出版社 p.20.
「うまくいったりして」の意味は「もしかしたら上手くいくのではないか」という意味です。
どちらの表現も「この企画はうまくいくと私は思います。」という主張をしたいわけなので、わざわざ自信が無いように見えるAのような言い方をしなくてもよいのです。
「して」と途中で終わることで、自信の無さを表すとともに、「もしかしたら上手くいかないかもしれない」というニュアンスを聞き手は感じとってしまう場合もあります。
また、Aの「たりして」の「たり」の用法は俗語的なので公的な場面にはふさわしくありません。「走ったり、止まったり」など複数回「たり」を使うのが基本的な文法です。
もちろんAのような書き方は友達の間での会話なら大丈夫です。
まとめ
重要な事項でなければ、「して」を使って結果に責任を持たなくても問題ありあません。
重要事項で責任を伴う場合は曖昧な言い方を避けましょう。