今回のテーマ
これまでの「は」と「が」の使い分けの記事は、肯定文の例を挙げて説明しました。
今回は疑問文の例を複数挙げて、疑問文における「は」と「が」の用法について解説します
例文は、アプリのHello Talkでよく使われる表現を使用します。
例文: 「誰が電話が(/を)できますか。」はどういう意味か
Hello Talkには電話機能があるので、電話したい人がしばしばこのような表現をします。
結論から言うと、この表現は変える方が良いでしょう。
この表現であっても通話が出来る人を探している意味にはなるのですが、別のニュアンスも醸し出して、少々曖昧です。
解説
以前の「は」と「が」の記事でも解説をしましたが、「が」には、ある一定のグループから選び出して、主語にしたり、説明する文になったりする作用があります。
以前の記事に関してはこちらをご覧になってください。①は詳細です。③は簡単で分かりやすいです。
改訂増補版!「は」と「が」の使い分けの方法①
「が」と「は」の使い分け ③ これだけはおぼえて欲しい!
したがって、「誰が」というと、ある一定のグループから選び出すニュアンスが、どうしても出てしまいます。
この「誰が電話が出来ますか」という表現がよく現れるHello Talkというアプリは、不特定多数の人が参加しています。
したがって、「が」が表す「ある一定のグループから選び出す」というニュアンスと合致しません。
「が」の疑問文は不特定多数の人に呼びかける表現ではないのです。
ある一定のグループや集団に問いかける表現なのです。
では、これに基づいて、1つの例を挙げてみましょう。
(学校のクラスで先生が言いました。)「次の発表会で 誰がピアノの伴奏ができますか」
このように、クラスという一定のグループが明確な時に「が」を使います。
適切な表現は?
「誰か電話が出来る人はいませんか。」や「どなたか電話が出来る人はいませんか。」としましょう。
重要な点は2点あります。
1点目は、「誰か」や「どなたか」を使って、「が」を使うのを避けることです。
2点目は、「出来る人は」とあるように「は」を使うことです。
「は」は以前の記事で説明したのように、事実説明の用法があります。
したがって、「は」を使うことによって、「出来る人が存在するか、しかないか」ということを単純に質問しているだけなので、不特定多数に訊くことが可能になります。
以前の記事について以下の記事をご覧になってください。
改訂増補版!「は」と「が」の使い分けの方法①
「が」と「は」の使い分け ③ これだけはおぼえて欲しい!
注意点も2つあります。
「が」にしてしまうと、一定のグループから選ぶ構造という同じ問題を繰り返してしまいます。
「電話は出来る」にすると、「他のことは出来なくいいが、電話に関しては」という対比の意味が強くなってしまいます。
電話に比類するものがここではないので、少々不自然ですね。(もちろん、比類するものがあれば問題なのですが)
加えて、「出来る」等の「可能」を表す表現は基本的に「が」を助詞に使うので、特別な事情が無い限り、「が」を使いましょう。
例外:単純に疑問をあらわす「が」の疑問文
「誰が電話が出来ますか」という表現は、人に呼びかける表現なので、聞き手は一定のグループが想定されるのですが、単純に人との会話で、ある問題や事実について質問した場合は「が」の疑問文でも構いません。
さらにこの表現は不特定多数の人に対しても使えます。
例を挙げてみましょう。
(友達との議論の中で)「誰が世界の問題を解決できるんだ?」
したがって、「誰が電話が出来ますか」という表現も、「呼びかけ」ではなく、事実を知るための疑問表現であれば使えます。
このように考えから、Hello Talkにおける、「誰が電話を出来ますか」という表現は、自分と電話しようと呼びかけているというより、「電話という機能を使える人は誰なのか」という事実を聞いている表現に聞こえてしまいます。
まとめ
「が」の疑問文における用法をまとめました。
今回の内容は複雑で難しいと思います。分かりづらい点がある場合は、是非連絡をください。質問にお答えします。