「ように」と「ために」の用法①

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今回のテーマ

今回から2回にわたって、「ように」と「ために」の用法を解説します。
始めに「ように」の用法から解説します。


「ように」の用法のまとめ

「ように」→「ようだ」

そもそも、「ようだ」は名詞「様(さま=様子)」と断定の助動詞「だ」の組み合わせです。つまり、「様」という漢字から分かるように「様子」や「状態」を表します。
したがって、意味は「~の状態・様子だ」と書き換えられます。これを踏まえると理解しやすいでしょう。


①比況

A:あるの性質・状態が他の事物に似ている意味を表す。似たものにたとえる。
 「今日は真冬のような寒さだ。」
 「機械のような正確さだ。」
 「一瞬体が揺れているように感じた。」
 「氷のように冷たい。」
 「まるで、生きているように動く。」
 「飲み込むように食べる。」

B:(「~ようなものだ」の形で)ほとんど同じ状態であることを示す。

 「勝負する前から負けたようなものだ。」
 「虎の威を借る狐のようなものだ」 
  *「弱い者が強い者の影響力を利用して威張ること」


②例示

「東京のような大都市。」
 「彼のように優秀な学生は他にはいない。」


③前提を述べる

A:相手が既に知っていることを前提とした上で、再度過去に知らせた内容を提示する。

 「先生がおっしゃったように、準備をおきました。」
 「前もって告げたように、今日が約束の日です。」

B:後で詳しく述べる内容を先に告げる。

 「結果は以下の通りです」(資料等を指し示した状態で)
 「次のような結論に至った。」(本等で、次の行から結論が書かれる。)

④不確かな断定、話し手の知覚や実際の経験に基づいた推測や判断を表す。

「彼は今日は不機嫌なようだ。」
 「この文章は以前読んだような気がする。」
 「このパソコンは壊れているようだ。」 


⑤(「~ようになる」の形で)過去の状態から変化した結果として、今の状態があるという意味を表す。

「遂に堂々と人前で話せるようになった。」
 「やっと英語を話せるようになった。」
 「やっとパソコンの操作を/が理解できるようになった。」

⑥(「~ように」や「~よう」の形で)相手に対し婉曲な命令や希望や祈願を表す。

「開始時刻の遅れないよう(に)。」
 「今後とも私を助けてくださいますよう(に)」
 「(あなたが)大学に入学できますよう(に)」


上記の場合、「よう(に)」の後ろに「して」、「してください」、「お願いします」等が省略されています。もちろん付けてもよいです。


「開始時刻に遅れないようにお願いします。」



⑦ ⑥の用法が自分に対して使われると、「自分への命令や希望」や「自分への祈願」を表す。「自分への命令や希望」とは、「自分が何かを成し遂げようとうする気持ち(意志)を持って、なにかを行う」という意味である。

意志(「~ようにする」の形で)

 「彼ともう二度と会わないようにする。」
 「友達との約束を破らないようにする。」
 「毎日、日本語を勉強するようにする。」

 祈願

 「(私が)大学に入学できますように。」
 「(私が)しくじりませんように。」


⑧(「~ように)の形で)動作や作用の目的を表す。

「旗がよく見えるように高く掲げた。」
  「涼しい風が入るように窓を大きく開けた。」
  「虫が部屋に入らないように窓を閉めた。」

 ⑧は⑦と似たような文章が出来ますが、わずかに違う意味を表します。

 「彼ともう二度と会わないように住所を変えた。」
 「毎日、日本語を勉強するように予定を調整した。」


まとめ

以上、「ように」と「ために」の違うを検討するために「ように」の意味を確認しました。分かりづらい点がありましたら、遠慮なく質問してください。

次回は「ために」の意味を確認します